筆者の略歴

■ピアノは弾きたい人が弾きたいように学ぶべきもの

これまでの音楽経験、指導経験をもとに「ピアノは初心者の方でも弾けるようになる!」をモットーにブログの記事執筆を担当させて頂いています。

このブログの記事執筆者が、どのような経歴で、どのような経験を積んできたかをお伝えすることで、これからピアノを始める方の手助けになれば幸いです。

ピアノは唯一の「遊び相手」だった

人生で初の習い事は「音楽教室」、4歳のときです。降園後、幼稚園に集まり、園の教室に倉庫から出してきた電子オルガンを母たちが運んでいきます。あっという間にお遊戯室が音楽教室に変わり、そしておけいこが始まるという、そんな時代でした。

兄弟がいない環境で育ったため「遊び相手は家のピアノ」というくらい、毎日ピアノに触れていました。また、音楽教室で習う曲はただオルガンを弾くだけでなく、童謡やクラシック以外のポップで楽しい歌唱の時間もあったため、練習そのものは苦ではなかったように記憶しています。

なにより、私はテレビから聞こえてくる歌謡曲に心惹かれていました。

どうしてもピアノで弾いてみたいので、大体の曲は弾けるところだけなんとか耳コピーし、家にあった讃美歌集は音符をたどって、音を、メロディを、とにかく鍵盤から探って弾いていました。

ピアノの技術は向上せずの日々

4年間のグループレッスンが修了し、初めてピアノを個人的に習うことになったのが小学校2年生のとき。バイエル…しんどかったです。何番を弾いてもすべてが同じ曲に聞こえるのです。

その上、オルガンで指の形に悪い癖がついてしまった私は、先生からダメ出しばかり。ピアノの鍵盤をきちんと押すことができないため、上達が遅いピアノの下手な劣等生でした。

それでも続けていたのが歌謡曲の探り弾きです。通常の練習もいやいやながら頑張り、少しずつ進んでブルグミュラーという作曲家の楽譜に入ったときです。やっと「あぁ、こんなきれいなピアノ曲があるんじゃない…」と感動し、また練習が楽しくなりました。

中学生で出会った恩師

先生の結婚や転居などで、さまざまなピアノ講師を渡り歩いていた私は、中学入学と同時に本格的にピアノを習うべく、地元で有名なある先生のお宅を訪ねました。

ピアノはグランドピアノが2台並び、棚いっぱいに並んだレコード、ダイナミックに音が鳴るオーディオ。すべてが整った環境の中で始まったレッスンでしたが、私に課せられたのは、「これまで弾いてきた練習曲を3冊ほど戻り、1から弾き直すこと」でした。

指のトレーニングばかりで辛かったのですが、恩師のアドバイスが的確で納得でき、かつ楽しいものだったため、「毎日ピアノ練習を頑張らなくちゃ」と思うことができました。

練習曲のやり直しが終わり、晴れてバッハ、シューベルトなど、いろいろな作曲家の、メロディがうっとりするくらいきれいなピアノ曲に出会えることとなりました。

その時、すでに中学2年生です。音楽大学へ進むには勉強のスタートが遅かったのです…。

音楽で高校、大学に進みたい

中学1年のことでした。地元に新しい発想で作られた公立高校ができました。大学のように選択制をとり、特化した勉強ができるというので「音楽を学ぶためにその高校を受験しよう」という目標ができました。

実際に選択別の授業になるのは高校2年生からでしたが、音楽大学を受験するために必要な授業を受け、放課後も合唱部で伴奏者と歌い手両方を担い、ひたすら音楽の勉強に明け暮れました。

同じ目標をもった仲間と勉強しましたが、「学校の授業だけでは合格できない」と、友人はそれぞれ希望する音楽大学の講師のレッスンを同時並行で受けていました。それくらい、当時は「音楽大学に現役で合格することは難しい」とされていました。

晴れて合格、音楽大学生と同時にピアノ講師に

私の学んだ武蔵野音楽大学は、入試のために1週間ほど費やします。

美術大学も同じかと思いますが、筆記だけではなく、実技の試験があるからです。合格しましたが、希望通りにはいきませんでした。第1希望のピアノ科では合格せず、第2希望の音楽教育学科に引っかかった形だったのです。

自分の演奏に自信を持てなくなりました。人前で弾くことも苦手になりました。
でも、その気持ちを救ってくれた、ある出来事がありました。

自宅近くに住んでいた当時4歳の小さな女の子がお母さんとともに、私を訪ねてきました。
「毎日そばを通ると音がするの。わたしもやってみたいの。とっても良い音がするから」と…。
ピアノの音が外にもれていたようで、その練習音を彼女は聞いていたようでした。

大学に入りたてでピアノ教育の右も左もわからないため、2年間は勉強の意味から無償でレッスンさせてもらうという約束のうえで女の子のレッスンを引き受けました。これが、私のピアノ講師歴の始まりです。

音楽教育学科で学んだことと無償レッスンで学んだこと

西洋音楽史に始まり、ソルフェージュ、指揮法や学校での音楽の授業のやり方までを4年間で学びます。この間に学校の音楽の授業で習う楽器もひと通り学びなおします。

リコーダー、鍵盤ハーモニカ、太鼓などの打楽器も…。その合間を縫って、ピアノ実技、声楽、チェロなどの楽器もレッスンしていきます。

でも、実際に子供を教えてみると、大学で学んだものとは違うことの連続でした。4歳の小さな子供は、ピアノの椅子に腰かけるだけでも一苦労です。抱えてあげなければ上がれません。集中力だって持ちませんし、もちろん字も数字も読めません。

その状態からどうやって音楽を身につかせるか、ピアノは楽しいと思ってもらえるようにするか…。子育てもしたことがない大学生の時のこの貴重な経験が、私のピアノ講師としてのテーマを見つけるきっかけとなりました。

「弾きたいと思って習いに来るその気持ちを大切にする講師になろう」

つまらないと思われがちだった学校の音楽の授業も変えたかった

もう一つ、私が残念に感じていたことがあります。

学校の音楽の教科書には、その当時あまり楽しいと思えるような曲が掲載されていませんでした。音楽の授業は基本的にはクラシックを学ぶ時間。音符も読めない生徒にとっては楽譜を追うのも面倒でしょうし、ベートーベンが何年に生まれてどんな曲を書いたかなんて興味もなく、退屈だと感じられてしまう時代でした。

「音楽はクラシックだけではないし、本来は楽しいと思うものなのに、どうしてもっと違う方法で授業できないのだろう…。」

このため、大学で行う模擬授業の時間には、当時人気だった歌謡曲を簡単に学べるようにアレンジし、同級生を生徒にみたて指導方法を試したりする日々でした。

私の通った高校では、音楽の授業は本来楽しいものなんだと教えるために、試験的にキーボードを導入し研究していました。男子も女子も、目の前に鍵盤があるとなんとなく指で押し、パーカッションが鳴ったりすればそれだけで楽しそうに耳を傾けるのです。知っている歌謡曲が流れたりしたら、もう大騒ぎ。「この曲知ってるー!」「それいいよねー!」

そんな試験的な授業を教育実習中に私も生徒と共有しました。音符と鍵盤のかかわりを学ばせたり、クラシックの大御所についての勉強にも活用したりと、おかげで音楽を履修する生徒が増えたため、その研究を取材し卒業論文にしました。

どんなに楽譜が読めない人でも、音楽は楽しめるし、ピアノも弾ける

このような経験が土台となり、ピアノ講師になる同級生が多い中、社会経験を積むためあえて一般企業に就職することを選び、「財団法人ヤマハ音楽振興会」(2018年現在は公益財団法人)に入社しました。

そこは私が初めて学んだ音楽教室の元締め的な存在で、音楽教室の講師となる音大卒業生への教育のサポートや、教室に通う生徒の保護者向け会員誌を制作するため、全国の教室を取材を担当したこともありました。

同じように音楽教室に通っても、才能が開花する子、反対にレッスンについていけなくなる子もいて、いろいろな現場を歩きましたが、私は、根本にある「どんなに楽譜が読めなくても、どんなに練習がいやでも、音楽が好きならばその気持ちを伸ばしてあげたい」という思いをもって、業務に臨んだ10年間でした。

自分の子供にピアノを教えてわかったこと

夫の海外赴任を機に家庭に入りましたが、実際に自分の子供にピアノを教えてみると、また新たな発見の連続です。楽譜を面倒くさがって読まないこともありますし、練習を嫌がることもあります。

どうやったら、楽譜が読めなくて鍵盤が押せないほど小さい手でも、音楽を教えたり、楽しませたりできるか…。テレビアニメの主題歌でもいい、幼稚園で習ってきたお遊戯の曲でもいい。

とにかく、タンバリンやおもちゃの木琴でも、ピアノ以外の音が出るものにも触れさせて、リズムをとったり、時には家の中を行進させて拍子感を覚えさせたり、いろいろなことを試し音楽とのふれあい方を模索しました。そのうち、なんとなく鍵盤の場所と音が一致し、探りながらでも弾こうとするまでになりました。

これからピアノを弾きたいとお考えの方にお伝えしたいこと

例えば好きな曲ができて「自分でも演奏してみたい!」と思ったとき、ピアノは一番とっつきやすい楽器かもしれません。鍵盤は目に見えますし、押すだけでその音が鳴るのですから。鍵盤の数も多いので「低い音が足りない、高い音が足りない」となることもあまりないのです。

私がご紹介するピアノを弾けるためにする方法は、どんなに初心者でも、音楽のルールを知らなくても、「その人が望むようにピアノを弾けるようにしてあげたい」と考え、ご紹介するものです。

ぜひ、「ピアノが弾いてみたいな」と感じたら、その気持ちにブレーキをかけないでください。
ピアノを弾いてみたいと思ったら、ご自身のやりたい方法やできることから練習をはじめてみませんか?ピアノが少しでも弾けたら、きっと音楽は人生に彩りを添えてくれることでしょう。

音楽をいろいろな形で楽しむ力を養い、楽しみを増やしましょう。