私のピアノ体験談 初心者の頃から弾けるようになるまで

これまで60回にわたり、大人になってからピアノ練習を始めた方へ、上達にむけての効果的なレッスン方法や楽譜の効率の良い読み方、その他ピアノや音楽にまつわる知っておいて頂きたい事柄についてご紹介してきました。

今回は、著者である私がどのようなピアノ初心者時代を過ごして、どのような経験をたどって、いろいろな曲を弾けるようになったかをお伝えしたいと思います。

ヤマハ音楽教室が初めの一歩

幼少期を過ごした1970年代は、女の子の習いごとといえば「ピアノ」というくらい、音楽教室の全盛期でした。

そのため、私もご多分に漏れず、幼稚園入園と同時にヤマハ音楽教室に入会、お友達5人ほどと毎週楽しく小さなオルガンでの練習にいそしみました。

ヤマハ音楽教室の教材は、クラシックにとどまりません。サンバのリズムや教会音楽のような曲まで網羅されていたので、大変興味をひかれたものです。

弾く技術については、段階を追って上達できるよう研究・編集されています。

このため、無理なく片手奏から両手奏へ移行、ハ長調から徐々に調号も増え、最後はニ短調まで弾いた記憶があります。左手も単音での伴奏形から2和音、3和音と進行、その間、音当てクイズで音感を養いながらのレッスンでした。

当時の家の楽器はオルガンでした。小学校入学とともに初めて、アップライトピアノでの練習を始めました。

オルガンでの練習が長かったせいか、当時は指の形が伸びきってしまう弾き方が身についてしまい、グループレッスンを卒業した後ヤマハのピアノ個人レッスンに移行すると、先生から随分と手の形を注意されたものです。

ピアノ個人レッスンでのソルフェージュ経験

ヤマハのグループレッスンは小学校に入るまで続きました。

アンサンブルとリズムが強い音楽が大好きだったので、何度も発表会に参加しては、パーカッションなどの担当を率先してこなしました。

小学校2年生ではじめてピアノ個人レッスンに移行。マンツーマンのレッスンで一番始めに用いた楽譜は以下の通りです。

個人レッスンで初めて用いた楽譜
  • ピアノのテクニック 現代的技術 巨匠たちの忠言(音楽之友社)
  • ルクーペ  ピアノの練習ラジリテ(全音楽譜出版社)
  • 新版 こどものバイエル 下巻(音楽之友社)
  • 音楽表現練習への ピアノ小曲集 No.1 <バイエル併用>(シンコーミュージック)

その後、ブルグミュラー、ハノン、全音のピアノピースなどを経ています。

また、夏休みなどの長い休み期間には、先生の好意でソルフェージュの学習を取り入れてくれました。

聴音(先生が弾いた音を五線譜上に書きとっていく練習)、新曲視唱(見たことのない楽譜を短時間で読み、歌う練習)など、ごく簡単な4小節程度の問題を解いていきます。

今振り返ると、のちに音楽大学を目指す礎になったと思う経験です。

先生の手厚い指導のおかげで、音感が養われ、総合的な音楽力が身につきました。

中学時代はピアノレッスンと並行してシンセ演奏やバンド活動

私はヤマハ音楽教室で学んだ多ジャンルでのアンサンブルが大好きだったので、いつも音楽仲間を探していました。中学時代にはバンドを組んだこともあります。

中学時代で一番大きかった音楽経験は、シンセサイザーの演奏です。

エレクトーンコンクールに出場する友人の助っ人として呼ばれ、ヤマハ製のシンセサイザーである、DX-7という名器を弾かせてもらいました。

当時スティービー・ワンダーの楽曲などでは、このシンセサイザーの音色が数多く使われていたので、「あの音はこの機械からだったんだ!」と大きな発見をする機会に恵まれました。

アコースティックピアノ以外の楽器との出会いは、継続していたクラシックのピアノレッスンにはない面白さがあり、クラシックを含めて音楽のすべてを知りたいと思うきっかけにもなりました。

大好きだったバッハとシューベルト

ピアノは、指の形を直しながらでしたがなんとか継続していました。

その後、利用した楽譜の代表的なものは以下の通りです。

その後に利用した楽譜
  • ツェルニー30番、40番、50番(全音楽譜出版社)
  • モシュコフスキー 15の練習曲(アメリカ:シャーマー社)
  • ベートーベンやモーツァルトが網羅されたソナチネアルバム、ソナタアルバム(春秋社、ドイツ:ヘンレ社)
  • バッハのインベンション(ウィーン原典版、春秋社、ドイツ:ヘンレ社、ベーレンライター社ほか)
  • シューベルトの即興曲集(ヘンレ社、春秋社)
  • ショパンエチュード集(フランス:サラベール社のコルトー版)

2声、3声など対位法のおもしろさやチェンバロ、ハープシコードの存在を知り、そこから西洋音楽史に触れ、古典派、美しい旋律の多いロマン派、近現代へと弾く曲の時代も進みました。

音大を目指すことになった経緯

プロフィールにも書きましたが、オルガン指というか、もともとの私のクセだったのか、とにかく手の形だけはいつまでも悪い状態でした。

そのため、早いパッセージやオクターブ以上のフレーズなどの演奏が苦手で、いつも自信が持てない演奏をしていました。中学時代にお世話になった恩師が、ハノンのやり直しを私に命じたのは中学1、2年のころです。

もうとっくの昔に、それも小学校くらいで終わっていていいはずのハノンを、毎日3~5曲ほど連続して弾くという宿題を課せられ、ひたすら弾きまくっていたのを覚えています。

手の形が悪いので、無理な力がかかってしまい長くは弾けません。最後は腕も硬直してインテンポで弾けない状態が続きました。

それでも、手の形を直して、熱心に励ましてくださった恩師のおかげで、スケール練習も含めハノン1冊をまるごと練習しなおすことに成功。

ここでピアノへの自信がつき、音大を目指すきっかけとなりました。

後にハノンは大好きになり、練習前に1冊引き倒すことは朝飯前になりました。

指の形を直すことは、本当に大変でした。

お風呂の中で湯船の縁で打鍵の練習をしたり、親指の付け根の骨が中に入ってしまいうまく開かなかったため、一日中いつでも親指の内側から骨を外に押し出すということをしていました。継続は力なりで、最後は9度もらくらく届くようになりました。

根気強くとか粘り強くとか、成人前はよく学校教育でも言われたものですが、そのような生き方はピアノレッスンで培ったと感じています。

少しだけ楽譜活用時のアドバイスを

クラシック(バッハの平均律やベートーベンなどの古典派の曲集、ショパンやシューマン、ドビュッシーやサティなどの曲集ほか)の曲集には、国内外問わずさまざまな出版社から楽譜が販売されていることをご存知でしょうか。

それぞれの出版社は、初演時や手書き譜、初版の楽譜などをオリジナルに入手して、研究を重ね版を編み出しています。

作曲家別になっている楽譜をチョイスする際は、ぜひ編者の名称や出版社のおかれている国名も確認し、その曲集にふさわしいアドバイスや編纂がされている楽譜を利用してください。演奏の指示が版ごとに異なるためです。

ポピュラー系のピアノ曲集でも言えることなのですが、ピアノ練習のために楽器店などで楽譜を選ぶ際は、ぜひ何冊かを見比べたり、売り場の専門家に聞いたりしながら、ご自身のレベルや希望に沿うアレンジがされた楽譜を見つけることをおすすめします。

指の病気を発症した今もピアノが大好き

実は、いまピアノが弾けていません。

へバーデン結節という第一関節の骨と骨同士がくっつき、
変形していく病気を発症したためです。

整形外科の先生にも、リウマチを疑ってかかった免疫不全の先生にも「ピアノ練習による使いすぎ」が原因と言われてしまいましたが、私の治療経験から明らかなのは、更年期障害のホルモン低下からきているということです。

今この記事を読んでくださっている方のなかにも、30代後半から40代の女性がいらっしゃるかもしれません。

ピアノは、痛み止めを飲みながら少しずつ弾く状態です。

日々の生活の中で少しでも関節のこわばりなどを感じることがあれば、整形外科ではなく婦人科を訪ね、ホルモン補充療法を速やかに始めていただきたいと思います。

関節の変形と痛みを早く食い止めることができるからです。

私の場合はピアノを教えるという仕事をしているのにも関わらず、対処が遅れてしまいました。特に、変形がひどいのは、右手の人差し指と中指です。内側の骨も出てきて指の形がずいぶん曲がって短くなり、このためきちんとした打鍵ができなくなりました。

ただ、弾けなくなって見えてくるピアノの風景もあります。

生徒さんには、見本の演奏を見せてあげられないので大変心苦しいのですが、いかに口頭で演奏について指導できるかが私の最大のテーマとなっています。

わかりやすく端的に、相手の気持ちをくみとりながらアドバイスするという技術はすぐには身につきません。少しずつ良い音や演奏ができるようにこれからも心を砕きたいと思っています。

皆様におかれましても、ぜひ後悔のないピアノライフを、とお願いしたいのです。

ピアノが弾けることはとても幸せで楽しいものです。

音楽会や発表会も経験しながら、ぜひ音楽のある彩豊かな暮らしを満喫してくださいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

武蔵野音楽大学卒業後、(財)ヤマハ音楽振興会に就職。

在職中はヤマハ音楽教室の講師研修やテキスト作成の補助業務、会員誌の編集などを担当。出版部門に出向後は輸入楽譜の日本語ライセンス版や新刊情報誌の編集に携わる。

現在は指の病気のため講師業を休職中。「ピアノを弾いてみたい…」と願う方の一助を担えたらと思い、初心者の方にもわかりやすく丁寧に執筆しました。