ピアノ初心者のための演奏記号の解説

ピアノの練習を始めて間もない方に、ピアノの演奏記号についてご説明します。

演奏記号とは、曲のある部分を「はねるように弾く」「大きく弾く」「次の音とつながるように滑らかに弾く」などの作曲者からの指示を、譜面上に記号で表したものです。

知っているともっと楽譜を深く知ることができて、演奏も楽しくなりますよ!
初歩の段階で出合うことの多い演奏記号を集めてご紹介します。

音の強弱を表す記号

ピアノの曲を聴いたり、街にあふれる音楽を耳にしたりして、「あ、この曲好きだな」と感じたことはありませんか?

聴き進めていくと、曲には必ず盛り上がる部分があったり、逆に静かに落ち着いた感じの部分があったりします。お経のようにずっと同じ調子で進んではいきませんよね。

これは演奏を通して、聴かせたい所は音を大きくしたり、良く聴いてほしいところは音を小さくしたり…という効果を表しているわけです。

皆さんにもピアノを弾こうとするときに、まず表現できるようにしていただきたいのは強弱の記号です。そこで、まずは音の強弱をあらわすための記号をご紹介します。

これらは、音符の下や上、五線譜の真ん中に書かれることが多い記号です。
お手元にある楽譜と照らし合わせながら見てみてください。

強弱に関する演奏記号
  • クレッシェンド…だんだん音を大きくする
  • デクレッシェンド…だんだん音を小さくする
  • フォルテ…強く弾く
  • メゾフォルテ…やや強く弾く
  • ピアノ…弱く弾く
  • メゾピアノ…やや弱く弾く
  • スフォルツァンド…特に強く

以上です。このうちクレッシェンドとデクレッシェンドは、だいたい対(つい)になって使用されることが多い記号です。坂を上るようにだんだん大きくしたら、盛り上がり部分を経て、徐々に小さくしていく…という表現をします。

ご紹介した強弱記号は、大体どの楽譜にも出現する回数がとても多いです。
これからピアノを習得する方は、少しずつでも習得するようにしましょう。

曲の速さを表す記号

次に、曲の速度を表す記号をご紹介します。

これは、楽譜の中では、一番初めの五線譜の左上に書かれることが多い記号です。
速い順番ででご紹介します。

速さに関する演奏記号
  • アレグロ(Allegro) 速く
  • アレグレット(Allegretto) やや速く
  • モデラート(moderato) 中くらいの速さで
  • アンダンテ(Andante) 歩くくらいの速さで
  • アダージョ(Adagio) ゆるやかに
  • ラルゴ(Largo) ゆるやかに

これらの記号が実際にどのくらいの速度かわかるツールがあります。

それはメトロノームです。

メトロノームは、細長いレバーについているキーを、速度が表記された部分に上下させて合わせるだけで、どのくらいのテンポかどうかを聞かせてくれる便利な商品です。

40年ほど前までは、カチッ、カチッと速度を耳で聞くだけではなく、動作そのものが目で見て取れる木製タイプのものが主流でした。

現在では、電子音の鳴るデジタルタイプのものや、小さくて持ち運びに便利なかわいらしいものも多数出回っています。

楽器売り場のある店舗で実際に手に取っていただけますので、楽器店に出向いた際は、ぜひメトロノームの売り場ものぞいてみてくださいね。

曲の弾き方を表す記号

次は、曲の演奏方法を示す記号についてご紹介します。

どのようなものでも結構ですので、お手元にある楽譜をご覧になりながら読んで頂くと、より分かりやすいでしょう。ト音記号で書かれた右手の楽譜には、音と音を渡すようになめらかな弧線が書かれていたり、音符の下には小さな丸が書かれていたりしませんか?

これは演奏方法を示す記号で、作曲家やアレンジャーが、「文章を音読するように、線と線(文章なら読点や句点)までをつなげて、一区切りとして弾いてほしい」「ここは、元気がでるようにはねてほしい」と思いを込めて書き添えている記号です。

演奏方法を示す記号
  • スラー

線の始まりの音と線の終わりの音までをつなげて、なめらかに弾きます。

  • タイ

スラーと同じ弧線に見えるのですが、同じ音同士が弧線でつながっている場合は、2番目に書かれている音は弾きなおさず、そのまま伸ばしておきます。

  • スタッカート

音符の玉の下に小さく書かれた●で記されます。この音を切るように短く弾くという意味があります。

  • アクセント

音符の上か下に書かれていて、形はデクレッシェンドの小さいバージョンのような記号です。その記号が書かれた音だけ、強くはっきり弾くという意味があります。

  • フェルマータ

その記号が書かれている音を、十分に伸ばすという意味があります。出現割合が高いのは、曲の終わりの音です。

  • リピートマーク

小節線の右側に書かれた2つの点から、小節線の左側に書かれた2つの点の間を繰り返して弾くという意味。

  • リタルダンド…rit.

書かれている部分からスタートして、だんだん遅くする

  • ア・テンポ…a tempo

書かれている部分から、もとの速さに戻す

  • ダ・カーポとフィーネ…D.C.、Fine

この記号が書かれているところまで弾き進めたら曲の頭に戻り、終わりはFineと書かれた部分で終わる。

  • ダル・セーニョとセーニョ…D.S.

D.S.と書かれたところまで弾き、記号 に戻る。終わりはFineで終わる。

このようにさまざまな演奏方法を表す記号があります。

今回ご紹介した記号はほんの一部ですので、「もっていろいろな記号を知りたい」という方や「楽譜上でここにはない記号や文字が並んでいる」というときは、ネットで調べていただくか、もしくは楽典(音符の種類・長さや音域、旋律の種類などが詳しく書かれた本)の本や音楽辞典で調べていただくと理解しやすいかもしれません。

辞典には作曲家の作品についてや、歴史についても記載されていますので、演奏に参考に使えるツールです。

演奏記号と楽譜を通して作曲者の思いを知ることになる

楽譜の決まりごとは、その奏法を守って弾いていただくことをすすめている作曲家やアレンジャーの「想い」を伝えるものでもあります。

このため、ただ音符を追って弾くだけではなく、盛り上げてみたり、静かに弾いてみたりと表情を加えることで演奏の幅がぐっと広がります。

「でも、好きなように弾きたくてピアノを始めたんだよな…」という方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合は、ご自身の好きなアレンジを加えてみてください。

曲にはさまざまな解釈の方法があります。その日の気分に合わせて、ぜひいろいろな奏法を楽しんで弾いてみてください。

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ABOUTこの記事をかいた人

武蔵野音楽大学卒業後、(財)ヤマハ音楽振興会に就職。

在職中はヤマハ音楽教室の講師研修やテキスト作成の補助業務、会員誌の編集などを担当。出版部門に出向後は輸入楽譜の日本語ライセンス版や新刊情報誌の編集に携わる。

現在は指の病気のため講師業を休職中。「ピアノを弾いてみたい…」と願う方の一助を担えたらと思い、初心者の方にもわかりやすく丁寧に執筆しました。